前々回、「配当所得と国民健康保険料」と題する記事で、配当等を確定申告する際の社会保険料に関する注意点について書きました。
今回は、配当等に関わる申告が後から修正できるのか、について書いてみたいと思います。
配当等の税額計算に関しては、以下の3つの方法から選択できます。
① 申告不要制度
② 申告分離課税
③ 総合課税
②の申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失と損益通算が出来ますが、配当控除は適用されません。
③の総合課税を選択すると、配当控除が適用できますが、上場株式等の譲渡損失との損益通算はできません。
3つの方法の中から、自分にとって一番メリットのある課税方法を選択することが出来ます。
ところで、前年に医療費控除等があって確定申告をした際、配当等について申告に含めなかったけれど、後からよく調べてみたら総合課税にする方が有利なことが分かったので、前年の確定申告書を総合課税に変更して再提出したい、と思った場合。
これは認められるのでしょうか?
残念ですが、このような修正は「出来ない」とされています。
仮に前年は配当等について複数の申告方法があることを知らなかった場合でも、「申告不要制度」を選択する意思決定をしたものと見做されるためです。
その意思決定を翌年になって替える、ということが認められていません。
なお、前年の配当等は申告不要制度を選択、今年の配当等は総合課税を選択、ということはできます。
前年の確定申告内容の修正は、こういう場合は出来る、こういう場合は出来ないと、ケースバイケース。
例えば、前年の申告書に、医療費控除漏れがあったような場合。
漏れた分の領収書を提出して等、少し手続きは面倒になりますが、修正の旨を申告することができます(更生の請求)。
確定申告というのは、細かい点において、何気に複雑です。
理論や理屈で割り切れないような内容も多く、当事務所でも、イレギュラーな事象の対応にはかなり神経を使います。
修正申告や構成の請求を行う場合、管轄の税務署に確認を取ってから行うことをお勧めします。
<参照>
配当等の確定申告の修正等については、少し用語が専門的ですが、以下のサイトに根拠等がより詳しく説明されています。
◆ 国税庁質疑応答事例:確定申告で申告しなかった上場株式等の利子及び配当を修正申告により申告することの可否