個人事業・所得税

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配当所得と国民健康保険料

上場株式の配当等を確定申告する場合、総合課税か申告分離課税を選択することが出来ます。

<上場株式の配当等>
 ・ 特定公社債の利子
 ・ 公募公社債投資信託の収益の分配金
 ・ 上場株式の配当
 ・ 公募株式投資信託の収益の分配 など

総合課税と申告分離課税の違いや、どの方法を選択する方が有利か等については、たくさんの記事がネット上に出ており、ここでは割愛します。

 

上場株式の配当等を申告すると、配当控除が受けられたり、源泉徴収税が還付されたり、株式の売却損と相殺できたりなど、税務上のメリット(要は還付金)があります。

このため上場株式の配当等を確定申告する方も多いのですが、そのために翌年の国民健康保険料や後期高齢者医療保険料(以下「保険料」)が跳ね上がってしまった! というケースもあります。

配当等を確定申告すると保険料に影響が出る可能性があることは、以前に比べて納税者の認知も広がっているように感じますが、それでもまだまだ「知らない」という方も多い様子です。

  

保険料が上がる理由は、配当金がその年の「所得」として保険料の計算に組み込まれるためです。

所得税の確定申告は国税庁に対して行われ、その情報は住民税や保険料を管理する各市町村と共有されます。

各市町村では、確定申告された内容で翌年の住民税や保険料を算定しますので、必然的に保険料に影響が出ることになります。

  

「配当等を確定申告すると還付金がもらえるのだから、保険料が上がるのは仕方がない」と諦めなければいけないか、というと、諦めない方法があります。

 

確定申告書とは別に、居住する自治体に対して市民税・県民税申告書を提出することができます。

この際、配当等について、確定申告とは別の課税方式で申告することができます。

確定申告は総合課税、住民税は申告不要制度を採択、ということが可能ですので、保険料の算定に配当所得が除かれることになります。

なお、70歳以上の方は収入に応じて医療費の自己負担割合が変わりますが、市町村に申告不要制度を採用して申請しても、医療費の自己負担割合の判定には配当等の収入金額が影響することがあるようです。

 

概論は上記の通りですが、所得税(国税)、住民税・県民税(地方税)、社会保険料の関係は複雑なところがあります。

また、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の算出方法は、自治体により異なります。

配当等に関して確定申告とは別に各市町村に申告書を出すことを検討される場合、必ず各市町村に内容や影響等について問合せし、確認を行うようにして下さい。