個人事業の会計処理に関しては、法人の会計処理(企業会計)と異なる部分があります。
ですので、簿記の知識を持っている方ほど、個人事業の会計処理で間違いが起きやすかったりします。
前回の記事では、よくある事例として、事業で使っている車を売却譲渡した場合の会計処理について説明しました。
今回は、受取利息を取り上げます。
普通預金で1000円の利息(うち200円が源泉)を受け取った場合。
企業会計では次のような仕訳になります。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
普通預金 | 800円 | 受取利息 | 1000円 |
法人税等 | 200円 |
ですが、個人事業の場合、仕訳は次のように行います。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
普通預金 | 800円 | 事業主借 | 800円 |
法人に課せられるのは法人税、個人事業主に課せられるのは所得税です。
所得税については、次の区分で取引を整理して、税額計算を行います。
1.利子所得
2.配当所得
3.不動産所得
4.事業所得
5.給与所得
6.退職所得
7.山林所得
8.譲渡所得
9.一時所得
10.雑所得
受取利息の区分は「利子」ですが、国内にある口座に付与される利息は源泉分離課税以外の方法が選択できません。
すなわち、受取利息は確定申告の対象外となり、事業所得に含めることができません。
事業で稼いだお金を預金口座に預けて、その残高に利息がつく。
そのロジックで考えると「事業所得でいいんじゃないの?」と思わなくもないのですが、会計と税は基本的なところで考え方が異なります。
所得税は所得税のルールの枠組みの中で考えます。
freee、マネーフォワードのクラウド会計ソフトは、個人事業主用と法人用と仕様が別れています。
個人事業主用を使っていれば、「受取利息」と入力しても自動的に「事業主借」勘定で帳簿転記してくれるので、間違うことはありません。
法人向けの会計ソフトを使っている場合、あるいは会計ソフトを使わずにエクセル等で帳簿を作っている場合は注意が必要です。
現実的には、超低金利の今の時代、普通預金に1000万円を預けていても、利率が0.001%程度なので、受取利息は源泉込みで年間100円。
定期預金でも0.02%程度なので、1000万円預けていても、年間の受取利息は源泉込みで2000円。
誤って会計処理しても殆ど影響はないのですが、でも、それとこれとは別問題。
会計処理と申告は正しく行います。
なお、事業資金の借入に付随して発生した支払利息については、事業経費になります。