先日、立て続けに2件、クラウド会計ソフトを使って自分で帳簿をつけている会社の帳簿内容を確認する機会がありました。
そして、2社とも、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて受給した給付金や支援金を課税取引として登録するミスをしていました。
「給付金や支援金に消費税は生じないことはネットでもたくさんの情報が出ているのに、なぜかな?」と思いましたが、会計ソフトに理由があるようです。
クラウド会計ソフトの中でも、特にfreeeは、会計の知識がなくても帳簿が作成できるよう工夫がされています。
たしかに、単純な取引パターンであれば、簿記を知らずともある程度は正確な帳簿が作成でき、「うまくできているな~」と感心します。
ただ、この「うまくできている点」が、アダとなることもあるようです。
給付金等を計上するのに、新たに勘定科目を作成せず、既存の「雑収入」勘定を用いる場合。
「雑収入」勘定はデフォルトで「課税10%」と設定されているケースが多いのではないでしょうか。
銀行口座とクラウド会計を連動させて入金情報を取り込むと、適切と思われる勘定科目をシステムが推測して自動入力してくれます(自動入力がない場合もあります)。
この際、「雑収入」が推測された場合、深く考えずに「OK」と登録してしまうと、「雑収入」の消費税は課税10%と設定されているため、自動的に課税取引として記帳されることになります。
そうすると、課税事業者の場合、余計な税金を納めることになります。
例えば300万円の給付金や支援金を受領した場合、本来納付の必要がない約27万円もの消費税を納める計算となります。
freeeの持続化給付金に関するヘルプ記事には、次のように記載されています。
事業に関わる補助金・助成金など(例:持続化給付金 等)受け取った場合は、一般的に勘定科目「雑収入」(税区分:対象外)を用いて登録します。
ref: freeeヘルプセンター 「新型コロナウイルス感染症に関わる給付金・支援金・補助金等の登録方法は?」
ちゃんと「税区分:対象外」と記載されています。
ですので、登録時にデフォルト表示される「課税売上10%」を「対象外」にマニュアル修正しないといけないのですが、なかなかここまで、意識が届かないのでしょう。
心当たりのありそうな方は、帳簿を確認してみて下さい。
このケース、何気に多いような気がしています。
もし、誤って給付金などを課税処理して申告・納税していても、「更正の請求」を、事実を証明できる書類等とともに税務署に提出すれば、還付を受けられます。
免税事業者の方についても、給付金等を課税売上で処理してしまうと、その金額で課税事業者判断がされてしまうので、やはり注意が必要です。