コラム

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税理士とのコミュニケーションで節税効果を高める

この2週間ほど、ある会社さんの過年度の帳簿内容の確認と会計処理方針の見直しを行っていました。

諸事情あって、当事務所に会計事務所を変更された会社さんです。

会計処理の仕方に、一部、業務の実態と合っていないところがありました。

そこを実態に合わせると、税金計算が変わってきます。

当年度だけでなく少なくとも5年前から帳簿の修正が必要となり、「更正の請求」(税金の還付手続き)を行うことになりそうです。

過去の帳簿の確認を行いながら、「なんでこんな会計処理をしていたのだろう?」と不思議に感じていたのですが、経営者の方から色々とお話しを聞く中で、答えが見つかりました。

クライアントと税理士間のコミュニケーション不足。

根本的な原因は、これに尽きます。

もう少し掘り下げると、次の2点に理由があります。

1.会計用語の使い方の違いから生じた認識齟齬
2.特殊な業務に対する理解と説明のミスマッチ

「1.会計用語の使い方の違いから生じた認識齟齬」というのは、決して珍しいことではなく、私もかつて、何度も経験しています。

会計士や税理士は、会計・税務の用語を法令等のルールで決められた通りに使います。

ですが、経営者の方は、自分の理解で会計の言葉を使います。

例えば「売上」と「収入」は違いますが、キャッシュ・インを伴う取引を全てひっくるめて「売上」と言う方がいらっしゃったりします。

税理士への支払いを「給料」と表現される方がいらっしゃいましたが、この経営者の方にとっては、人への支払いは全て「給料」という認識だったようです。

ですので、特に初めての会社さんとコミュニケーションを取る際は、相手の使う言葉が自分の理解と一致しているか、ということに気を付けていないと、思わぬミスが生じてしまいます。

今回のケースでも、やはり経営者の方が独自の定義で会計用語を使われていたため、前任の税理士の方は誤解してしまったようです(推測ですが)。

そういうミスや誤解を防ぐ最も有効な方法は、経営者の方から事業の話を色々と聞き出すこと。

今回、私が処理の誤りに気付いたのも、実は経営者の方との事業に関する何気ない話がキッカケでした。

言い換えれば、私自身も、最初は前任の税理士の方と同じように、誤った理解をしていました。

会計・税務処理上の誤りは、少し特殊だったり複雑だったりする業務に対して生じがちです。

ですので、そういう業務については、しっかりとヒアリングをしないといけないのですが、経営者の方も全体的・体系的な説明が得意な方ばかりではありません。

そこを上手く聞き出すのがプロの腕前ではあるのですが、なかなか、難しかったりします。

「2.特殊な業務に対する理解と説明のミスマッチ」というのは、そういう意味です。

少し話は反れますが、大企業であっても小規模会社であっても、私個人の経験から言えば、相手の会社の事業をきちんと理解できるまで、少なくとも3年はかかります。

大企業の場合、それなりの報酬もいただくので、どっぷりと時間をかけることができるのですが、会社の規模が大きいと、全体を網羅するのに時間はかかります。

小規模会社の場合、かける時間が限られてしまうので、やはり全体把握までに時間がかかってしまいます。

そうは言っても、正しい会計処理、正しい税務申告は、会社としての義務と責任であり、会計士・税理士にとっても同じです。

お互いのために、エラーを生じさせないために、必要なことは、ただひとつ。

コミュニケーションをしっかりと取ること。

コミュニケーションというのは、親しい友人や家族の間では自然に起きるものですが、ビジネスの間においては、双方の努力が必要なものだと思います。

「税理士はプロなんだから、証票渡せば、あとは勝手に正しく処理してくれるんでしょ」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

会社の規模が小さければ、証票類を見れば90%程度は正しく処理できます。

けれど、残りの10%に、思わぬ落とし穴が潜んでいたりするものです。

節税の基本は正しい会計処理にあり です。

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