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令和7年度税制改正において、給与所得控除額の下限が55万円から65万円へ10万円引き上げられることになりました。
ただし、残念ながら、全ての給与所得者の給与所得控除額が10万円アップ、ではない点に注意が必要です。
改正の要点
- 1. 給与所得控除額の下限が10万円引き上げられます。
2. 給与収入190万円以下の方に減税メリットが生じます。
3. すべての方の給与所得控除額が一律に10万円アップするわけではありません。
給与所得控除額とは?
給与所得控除とは、会社員の方々の給与収入から差し引かれるもので、いわば「会社員版の必要経費」のようなものです。
個人事業主の方が事業を行う上で発生する経費を計上するのと同様に、会社員の方にも、スーツ代や書籍代、交通費など、仕事をする上で様々な支出があることを考慮し、給与収入に応じて一定額が控除される制度です。
これにより、給与収入から給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得となり、所得税や住民税の計算の基礎となります。
今回の改正のポイント
今回の改正で給与所得控除額の下限が10万円引き上げられたことにより、給与収入190万円以下の方々にとって減税メリットが生じることになります。
しかし、べての給与所得者の方々の給与所得控除額が10万円一律にアップするわけではありません。以下の表で詳細をご確認いただけます。
収入金額 | 平成29年~令和元年 | 令和2年~令和6年 | 改正後(令和7年~) |
---|---|---|---|
162.5万円以下 | 65万円 | 55万円 | 65万円 |
180万円以下 | 収入金額×40% | 収入金額×40% – 10万円 | 収入金額×40% |
190万円以下 | 収入金額×30% + 18万円 | 収入金額×30% + 8万円 | 収入金額×30% + 8万円 |
360万円以下 | 収入金額×20% + 54万円 | 収入金額×20% + 44万円 | 収入金額×20% + 44万円 |
660万円以下 | 収入金額×10% + 120万円 | 収入金額×10% + 110万円 | 収入金額×10% + 110万円 |
850万円以下 | 収入金額×10% + 120万円 | 収入金額×10% + 110万円 | 収入金額×10% + 110万円 |
850万円超 1,000万円以下 | 195万円 | 195万円 | 195万円 |
1,000万円超 | 220万円 | 195万円 | 195万円 |
この表からお分かりいただけますように、特に給与収入162.5万円以下の方は、令和2年から令和6年までの期間に55万円に引き下げられていた給与所得控除額が、令和7年からは65万円に戻ります。また、給与収入162.5万円超190万円以下の方も、現行の計算式から10万円分多く控除される形となります。
それ以外の給与収入の方は、今回の給与所得控除改正の恩恵は、残念ながら受けることができない点にご注意下さい。