個人事業用の車を譲渡して譲渡損が出た場合の会計処理と確定申告方法については コチラ の記事に記載しました。
今回は、事業用車両を譲渡した際、譲渡益が生じた場合の会計処理と確定申告方法について説明します。
基本的な考え方は譲渡損が生じる場合と同じです。
簿価10万円(取得価額100万円、減価償却累計額90万円)の車を下取りに出し、下取り価格15万円で価格80万円の車を新しく購入した場合。
企業会計では次のような仕訳になります。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
(新)車両 | 80万円 | (旧)車両 | 100万円 |
減価償却累計額 | 90万円 | 現預金 | 65万円 |
車両売却益 | 5万円 |
ですが、個人事業の場合、仕訳は次のように行います。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
(新)車両 | 80万円 | (旧)車両 | 100万円 |
減価償却累計額 | 90万円 | 現預金 | 65万円 |
事業主借 | 5万円 |
個人事業主に課せられるのは所得税であり、所得税においては事業用資産の譲渡所得は事業所得とは別区分で申告(総合課税)する必要あるため、売却益には計上しません。
譲渡損が生じた場合は、誤って事業所得に含めて決算してしまっても、計算される税金の額は変わりません。
譲渡益の場合は、変わります。
所有期間が5年以下の資産を譲渡する場合は短期譲渡所得、5年超の資産を譲渡する場合は長期譲渡所得と区分します。
短期であっても長期であっても、譲渡益を計算する場合、特別控除(最高50万円)を差し引くことができます。
- 譲渡益 = 譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)
- 譲渡所得の金額 = 譲渡益-特別控除額(最高50万円)
仮に複数の事業用資産を譲渡して、短期譲渡所得と長期譲渡所得が混在する場合。
先に短期譲渡所得の譲渡益から控除し、残りがあれば長期譲渡所得の譲渡益から控除します。
譲渡益が50万円より少ない場合は譲渡益が特別控除額となります。
事業用車両を下取りに出した場合、消費税の取り扱いにも注意が必要です。
上記のケースにおいて、新車を購入するのに支払った現預金は65万円ですが、課税仕入れは新車の価格80万円になります。
そして、下取り価格の15万円は課税売上となります。
下取りの価格は帳簿に載りませんので、消費税の申告が必要な場合には注意が必要になります。